小倉まちじゅうモール

小倉まちなかコラム

“顔が見えるサービス”で信頼を築く、頼れるまちの電気屋さん【電気のリズ・トーチク 魚町店】

ちゅうぎん通り沿いに建つ電気のリズ・トーチク 魚町店は、家電製品の修理や販売を中心に、小倉のまちと共に歩んできた電気店です。
半世紀を超える歴史の中で何よりも大切にしてきたのは、信頼されるサービスを届けること。迅速で誠実なサービスで顧客を増やし、困った時に頼りにされる関係を築いてきました。
家電量販店には真似のできない“顔が見えるサービス”を武器に、今日も頼れるまちの電気屋さんとして依頼先を飛び回っています。

量販店にはない対応力で築いてきた信頼

リズ・トーチクは魚町店を本社に、砂津、戸ノ上にオフィスを、そのほかにも多くのグループ店を持つ総合家電サービス会社です。代表を務める井上 弘さんはかつて、三洋電機のサービスマンとして家電の修理や設置の経験を重ね、1963(昭和38)年に独立して小倉で開業しました。

「生まれは小倉だけど育ちはずっと博多。勤めていたのも博多だったけど小倉で開業したのは、小倉で働いていたメーカーの先輩が『こっちに来い』って誘ってくれたから。そのおかげで小倉に来て間もなく、デパート関係の修理も担当させてもらうことになりました。玉屋とか井筒屋みたいなところに入れる電気屋さんも限られていますからね。信頼して声をかけてもらって嬉しかったですよ」

▲まちの電気屋さんは近隣の商店にも頼りにされる存在だ
▲まちの電気屋さんは近隣の商店にも頼りにされる存在だ

「同業の先輩たちに引っ張り上げてもらった」と話す井上さん。それは間違いなく、井上さんの仕事ぶりを見てのこと。安心して任せられる人物だと周囲に思われていたからでしょう。それはを裏付けるように、井上さんはこの仕事は「信頼をつなげていくことが大事」だと言います。

「例えばエアコンとか洗濯機が壊れてメーカーや量販店に頼むと、外部の業者に連絡して修理に行ける日がやっと決まるでしょ。うちはお客さんからお問い合わせがあったら、専門の技術を持ったサービススタッフが直接伺うから対応のスピードが違う。それにうちは修理費と工事費だけで、出張費はとらんけね。そういうところがまず違う。だから新規のお客さんでも一回行くと信頼してくれて、次も頼んでくれることが多いですよ」

▲依頼書をみると、さまざまな依頼があることがわかる
▲依頼書をみると、さまざまな依頼があることがわかる

生活必需品である家電のトラブルにいち早く対応してもらえるのは何よりもありがたいこと。万が一修理で直らなかった場合でも、量販店と変わらない価格で新しいものを販売し設置できるのは、グループ会社で安く仕入れられる仕組みを持っている強みです。だからこそ、創業当初から何十年と付き合いの続く顧客も多いといいます。

「家電を買うとなると量販店に行く人も多いと思いますけど、うちみたいな小売店に頼むとあとの面倒見が違うからね。そこはお客さん自身が感じて、わかってくれていると思いますね」

リズ・トーチクのサービスエリアは主に北九州市内全域。時には県外に出向くこともあります。まちなかにあるため、近隣の店から急ぎの問い合わせが入ることも。そんな場合もできる限りすぐに対応するようにしているといいます。

家のことならなんでもできるように

子どもの頃から機械をいじるのが好きだったという井上さん。小学生の頃には鉱石ラジオや真空管ラジオのキットでの工作に夢中になっていたといいます。

「電気製品の修理は、電気の流れを調べて故障箇所を探します。テレビでいうと昔はブラウン管の時代で、今の家電と比べて複雑だったから修理の内容も今とはぜんぜん違いましたよ。今は製品がよくなったから昔みたいに壊れることは少なくなったし、悪くなる部分もわかりやすいから、修理もすしやすいですね」

家電の修理販売を行う中で、新たな事業展開として住宅の建築やリフォームも手がけるようになったリズ・トーチク。建築の免許も取得し、現在はリフォームや新築の依頼にも応えています。

「お客さんと長くお付き合いをしていると、お風呂や洗面、台所をリフォームしたいという声も聞こえてくる。今ではプランの提案や設計までする専門のチームがいます」

家のことならなんでもできる。これはまさに、お客との信頼関係を大事にしてきたからこその自然な流れだったのでしょう。

お客の声にしっかりと耳を傾けて

リズ・トーチクには、地域に密着した電気店としての顔とは別に、その経験と技術の高さから全国から依頼が舞い込む事業もあります。それは物流施設に建設する大型のプレハブ冷蔵庫の施工です。

「流通センターなどの設備として、時には1000坪を超える大きさのプレハブ冷蔵庫をつくっています。普段の仕事は北九州がメインだけど、プレハブ冷蔵庫は日本全国から依頼が来る。昔から各地で何十件もつくってきて実績もあるし、そんな大きな設備をつくれるところはうちぐらいしかないからね。一から設計して、現場に監督を派遣して施工までみています。さらにプレハブ冷蔵庫の状態をいつでもパソコン上でチェックできるシステムも開発して特許も取っています。これは専務をしている弟がやってくれています」

リズ・トーチクに電話をすれば大丈夫。そんな安心感を支えているのは、現場に足を運び、お客の声を直接聞いて応えてきた井上さんの仕事への思いです。

「お客さんが『お世話になったね』を店に差し入れを持ってきてくれることもありますよ。喜んでもらえることがやっぱり嬉しいよね」と井上さん。自身はもう現場に出ることもほとんどないといいますが、その思いは現場を担う息子さんや従業員さんたちにしっかりと受け継がれています。

「お客さんに喜んでもらえるこの仕事が好きやけんね、それがいちばんよね」
電気のリズ・トーチク  井上 弘

電気のリズ・トーチク 魚町店
北九州市小倉北区魚町1-2-5
TEL:093-531-6785
営業時間:10:30〜18:00
定休日:日曜日


取材・文/写真:岩井紀子

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