JR小倉駅前にあるセントシティ11階の一角にある中華料理店「華州苑(かしゅうえん)」は、2021年11月にオープン以来、広東風の中華を中心に、幅広いメニューを展開する本格中華のレストラン。ランチタイムはもちろん、夜は家族連れや宴会客で賑わっています。
どれにしようか選ぶのも楽しい! 品揃え豊富なランチメニュー
華州苑のランチタイムは日替わり定食をはじめ豊富なセットメニューが充実しており、副菜やスープ、サラダなども付いていて食べ応えも十分。ピークタイムには毎日満席になるほどの人気ぶりです。中華のいいところは野菜もしっかりと取れ、バランスのいい食事ができるところ。ごはん、スープはおかわりも自由なので、男性陣の胃袋もしっかり満足させてくれます。
人気は「海老チリ定食」や「酢豚定食」、「担々麺セット」「マーボー丼セット」など挙げればキリがありません。市内では提供する店が少ない「飲茶セット」がランチでいただけるのも注目です。
オーナーの趙 大龍さんに、華州苑の料理の特徴を伺ってみると、
「炒め物でも揚げ物でも、料理を作る過程で油をしっかりと切って調理しているので、華州苑の料理はあっさり仕上がっていることが特徴です。中華料理というとどうしても脂っこいイメージがあると思いますが、こってりしすぎない薄味ながらおいしく召し上がっていただけるよう工夫しています」とそのこだわりを話してくれました。
商業施設内のレストランだけに、そのお客の多くが女性やご年配。日本人の口に合わせた優しい味わいは好評を得ています。
コンテストで世界一の経歴を持つ名料理長のこだわり
華州苑の料理を手がける料理長は、かつて台湾で開催された中華料理の大会に日本代表チームのひとりとして出場し、1位をとったという経歴の持ち主です。手際よく中華鍋を振るう料理長の姿は客席からも見ることができます。
「調味料には特にこだわっていて、特に中華料理の要となる豆板醤は中国四川省特産の「郫県(ピーシェン)豆板醤」をブレンドして独自にアレンジ。XO醬もオリジナルで作っています。そのほかにも化学調味料を使わないことはもちろん、塩や醤油といった基本的な調味料もいい材料を厳選しています」
選りすぐりの調味料で素材の味を引き出しながら、強火で豪快に旨さをうみ出す技術。腕利き料理長の経験に基づいた調理と味付けが、華州苑のおいしさにつながっています。
中華料理の楽しみのひとつといえば、さまざまな料理を家族でとりわけながら味わえることではないでしょうか。特に週末の夜は家族連れや宴会で賑わいます。店内の一角を貸切にできるスペースもあり、20〜40名の宴会にも対応が可能。駅も近いため忘新年会などの会場としても活用されています。
子どもの頃から祖父の店「小倉飯店」を見て育つ
オーナーの趙さんは中国・大連で生まれ、中学1年生の時に北九州に移り住みました。祖父が営んでいた地元の中華の名店「小倉飯店」を手伝うこともあり、子ども心に「動くことが好き。お客様にサービスして喜ばれることが好き」だと感じていたといいます。
アメリカの大学に進学し、卒業後もアメリカで3年間働いている間に結婚、子どもも授かったため、地元北九州で飲食の道に進むことはまったく考えていなかったといいます。一旦帰国し九州大学大学院へ進み、金融や物流の研究をし、再びアメリカに戻るつもりでいたところ、たまたま小倉飯店の姉妹店である「門司倶楽部」の人手が足りず、叔父に頼まれて手伝うことになったのが、この道に就くきっかけだったといいます。
「思わぬ方向に人生が進みましたが、デスクワークがあまり好きではなかったので、この仕事は向いていたのだと思います。土日は接客でホールに立つこともありますが、帰り際に『おいしかったよ』と声をかけてもらうことが多く、飲食業は楽しいなと思いますね」
東京などに視察に行くと、いわゆる“ガチ中華”と呼ばれる本場の味を提供する店も多く見るといいますが、北九州ではやはり日本人向けの中華を提供することが大事だと思っているという趙さん。
「セントシティはお買い物のお客様が大半なので、もっと女性に喜ばれる中華にできないかということを考えてこの店を始めました。いろいろと工夫をして、日本人に合うような中華料理、少しずついろいろな味を楽しみたいというニーズに応えるメニューを考えて、小皿でいろいろ食べられて、あっさりと味わえるのが華州苑の考える日本の中華料理らしさです」
「あらゆる方が気軽に中華料理を楽しめる場所を作りたい」という趙さんは今、中華を食べ慣れない若者世代にも親しみを持ってもらえる中華料理を出していきたいとも思っているそう。そんな手軽に味わえる中華と同時に、もっと高級素材を使った本格的な料理の開発やチェーン展開などの野望もあるといいます。
「お客さんがおいしいと思って、また来てくれることが何より嬉しい」と話す趙さん。オープン直後はコロナ禍で大変な時期だったといいますが、その後の2年間でリピーターがとても増えたといいます。
「毎日来てくれるお客さん、週に一度は必ず来てくれえるお客さんもいて、それがとても嬉しいですね。華州苑の味を認めてもらえたというか、お客様の生活の一部になれたような感じがします」
中華料理は世界三大料理に数えられる料理。とはいえ同じ中華と言ってもその国によってまったく味が違うことをアメリカにいる時にも感じたという趙さん。
「日本で日本人に合う中華料理を提供して喜んでもらうことが、私がいちばん大切にしていること。華州苑の名前で、みんなが喜んでずっと通ってくれる店を作ることが目標です」
「華州苑の中華料理の味が、お客様の日常生活の一部になれるように」
華州苑 オーナー 趙 大龍
華州苑
北九州市小倉北区京町3-1-1 セントシティ11F
TEL:050-8830-0788
営業時間:11:00〜15:00(OS14:00)/17:00〜21:30(OS21:00)、土日祝日〜22:00(OS21:00)
定休日:なし
席数:100席
取材・文/写真:岩井紀子