小倉まちじゅうモール

小倉まちなかコラム

リピート率90%!サラリーマンに愛されるONOビル地下の焼鳥の名店【本格炭火焼 鳥ざん】

小倉駅前商店街沿いに建つONOビルの地下食堂街。階段を下り、レトロなムードが漂う通路を奥に進んだ先にその店はあります。本格炭火焼 鳥ざんは、新鮮でボリューム感のある焼鳥をリーズナブルな価格で味わえる人気店です。小倉は焼鳥店の多いまち。さらにこのビルの地下も複数の焼鳥店が並び、いわば激戦区。その中でも選ばれ続ける焼鳥の名店、鳥ざんを訪ねました。

旨さ・ボリューム・雰囲気の三拍子がそろう“サラリーマンのオアシス”

▲(提供写真)
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こぢんまりとした店構えで肩肘張らずに過ごせる昔ながらの焼鳥店、鳥ざん。夕方になると仕事終わりのスーツ姿のお客たちが賑やかにグラスを酌み交わし、店の外まで食欲を誘う香りが漂います。どこか懐かしくて落ち着くのに、活気に満ちたこの店は、まさに“サラリーマンのオアシス”と呼ぶにふさわしい雰囲気です。

「ほとんどのお客さんがリピーターですね。最近は若いお客さんもぼちぼち増えてきましたけど」と話すのは、店長の安藤 主税さん。17年前のオープン時からこの店に携わり、3年目からは店長を任されるベテランです。

数ある焼鳥店のなかでも鳥ざんに常連客が足繁く通う理由はどこにあるのでしょう?

「ボリュームがあっておいしい。しかもリーズナブルだとよく言われますね」

その“わかりやすい魅力”の裏側には、17年積み重ねてきた見えない仕事があります。

まずひと目でわかるのが、串の存在感です。ブロックで仕入れた〈金星佐賀豚〉を大ぶりサイズにカットした「豚バラ」は鳥ざんの名物のひとつ。頬張れば、脂の甘みと肉の旨みがしっかりと広がります。
「ねぎま」や「せせり」といった定番串も、一般的な店より一回り大きくて満足感十分。それでいて価格は良心的なのがさらにうれしいところ。

「うちで今使っている鶏は〈はかた地どり〉や〈長州どり〉が中心。「鳥皮」や「砂ずり」は脂身やスジを丁寧に取り除くこと、レバーの血抜きなど仕込みにも手を抜きません。それが当たり前になっているから特別にこだわっているつもりもないんですけどね」

安藤さんはさらりと語りますが、丁寧な下ごしらえがあってこそ出せる旨さ。毎日の繊細な仕込みが、お客の信頼へと結びついています。

長年の経験値で火入れを読む

▲(提供写真)
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さらに焼鳥で重要なポイントが火入れです。生焼けは論外。しかし火を入れすぎれば肉のジューシーさは失われます。鳥ざんが目指すのは、そのギリギリを攻めた“ミディアムレア”。焼き具合に納得がいかなければ焼き直すというほど、火入れにはこだわりを持つ安藤さん。

鶏肉のふわっとした食感や柔らかさ、ジューシーさを残しつつ旨みが閉じ込められた串はどれも評判がよく、なかでも「ねぎま」「せせり」「鳥皮」「豚バラ」「牛さがり」は特に人気が高い。自家製のタレもさらりとした口当たりながら、しっかりと肉に絡み、味を引き立ててくれる。

「この間、博多から来たお客さんが、『僕はくるくる巻いた鳥皮が好きなんだよね』って言うから、『よかったらうちの鳥皮も食べてみてよ』と勧めたら『おいしかった!』って言ってくれてね。嬉しかったですよ」

絶妙な火入れを見極めるコツを尋ねると、安藤さんはひと言、こう言います。

「串の焼け具合はね、もう感覚でわかるんですよ」

お客と会話をしながら、ほかの料理を作りながら、安藤さんの神経は常に串に集中。体に染み込んだその感覚は、まさに17年の経験のたまものです。

「あとは炭の組み加減ですね。炭の形もそれぞれ違うので、同じ組み方をしても日によって温度が変わるんですよ。底からの空気の入り具合で火力や温度がまったく変わるので、『今日はこの感じで行こう』って見極めて。これももう直感ですね」

満席のお客の注文に合わせ、手際よく焼き台に串を並べる安藤さんの姿は真剣そのもの。お客の前に出された串を食べ終わる頃を見計らって次の串を提供する。この絶妙なタイミングからは、いかに安藤さんがお客の様子を見ているかも窺い知れます。

焼き手が変わるとお客が逃げる。店長になってゼロからの再出発

いまやリピート率は8〜9割。常連客に支えられる店となった鳥ざんですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。オープン3年目に安藤さんが店長に就いた当初、店のお客はほとんど離れてしまったといいます。

「焼き鳥の世界って、焼き手が変わるとお客さんも離れるんですよ」

同じメニューでも、焼き手が違えば「前の方がよかった」と言われてしまう。店長を任されたとはいえ、ゼロに近い状態からのスタートでした。そこから安藤さんは企業への訪問、チラシ配り、サービス券の配布など、自分の店を知ってもらう地道な努力を重ねました。

同時に目指したのは常連を増やすことでした。来てくれたお客との会話を大事にし、とにかく顔を覚える。そうやって関係性を築いていくことに注力しました。

すると不思議なことに、「店が苦しい時には、助けてくれるお客さんが必ず現れてくれる」と安藤さんは話します。コロナ禍でも営業できる日は店を開け続けていると、必ず誰かが訪れてくれて、お客がゼロの日はなかったといいます。

▲時間がある時はカウンターだけでなくテーブル席のお客にも話かける、この距離感が常連を生む
▲時間がある時はカウンターだけでなくテーブル席のお客にも話かける、この距離感が常連を生む

旨い焼鳥を提供したいという実直な思いと、店を背負う決意、そしてお客を大切に思う気持ちの積み重ねが、鳥ざんをつくっているといえます。事実、店長になって3年目には、それまでの売り上げを超え、今も業績は右肩上がりだといいます。

「今は逆に、お客さんが多すぎて入れないこともあって申し訳ないことも…」

そんな時は、同じ地下食堂街にある居酒屋〈ざん新〉を勧めることもあるといいます。「後からできた姉妹店のざん新と一緒に盛り上げて行きたいんでね」

「でもね」と安藤さんは続けます。

「うちがいくら満席でも、もしかしたら他の焼鳥店の方がうちより賑わっているかもしれないと、常に思うようにしてるんです」

焼き鳥店がひしめくこの場所で、油断や慢心は命取りになることを知っているからこそ、安藤さんは常に上を見続けています。

「この店を終わらせたくないんですよね」

33歳でこの世界に入り、鳥ざんの店長になって初めて「仕事が楽しい」と思えるようになった安藤さん。いまでは「人生で一番好きな仕事」だと話します。

「焼鳥もだけど、商売がおもしろい。こういう商売のいいところってダイレクトにいいも悪いもの伝わってくるところ。やっぱり人間って褒められたり喜んでもらえたりすると、やっぱり嬉しいじゃないですか。逆にお客さんを不快にさせてしまったりすると、『ああ、失敗した』って反省する部分もたくさんある。喜びと反省の両方をストレートに味わえるのが飲食店の楽しさですね」

変わらない味、変わらない接客。上を目指しつつも変わらないために毎日を積み重ねている鳥ざん。

旨さに妥協しない匠の技と、現状に満足せずポジティブに上を目指す安藤さんの人柄が「小倉で焼鳥を食べるなら鳥ざん一択!」と出張客やサラリーマンに語り継がれている理由なのでしょう。

「この店が、この店に来るお客さんが、仕事の楽しさを教えてくれた」
鳥ざん 店長 安藤 主税

本格炭火焼鳥ざん
北九州市小倉北区京町2-7-7 ONOビルB1
TEL:093-551-8455
営業時間:17:00〜23:00(LO22:30、なくなり次第閉店)
定休日:日曜
席数:17席
SNS:InstagramFacebook


取材・文/写真:岩井紀子

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