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駅の立ち食いは、うどんだけじゃない!小倉駅ホームにニューフェイス2店が仲間入り【のぼれ天まで小倉駅店】/【小倉五街道 常盤橋咖喱】

JR小倉駅ホームの立ち食いといえば、1・2番乗り場、7・8番乗り場の「かしわうどん」がお馴染みでしたが、この夏、これまで空いていた残りのホームにも新たな立ち食い店がオープン。すべての在来線ホームに飲食店が揃ったのは約5年ぶりです。

7月に5・6番乗り場に登場したのは、こだわりのチャーシューが特徴のとんこつラーメン店〈のぼれ天まで小倉駅店〉。さらに8月には3・4番乗り場にカレー専門店〈小倉五街道 常盤橋〉がオープンしました。どちらの店もこの場所でしか食べられないメニューを提供しており、毎日の通勤通学の合間に立ち寄る人、出張や旅行客のほか、わざわざ立ち食いを目当てに駅の入場券(150円)を買って食べに来るお客までいるそうです。

今回は、小倉駅に行った際にはぜひ立ち寄って欲しいふたつの店を紹介します。

のぼれ天まで小倉駅店

ここでしか味わえない独自のトッピングが魅力のとんこつラーメン

小倉駅5・6番乗り場に7月7日にオープンしたのは、〈風風ラーメン〉でお馴染みのリズム食品が手がける新形態のラーメン店〈のぼれ天まで小倉駅店〉。黒崎に同じ店名の店を出しているものの、提供されるラーメンは小倉駅店独自のものです。そのいちばんの特徴は、トッピングされるオリジナルのチャーシュー「バラ軟骨」と「スペアリブ」。下茹でから長時間かけて煮込んだバラ軟骨とスペアリブは、甘辛い醤油ベースの味がしっかり染み込み柔らかく、そこに軟骨のコリッとした食感がアクセントとなる、ほかでは味わえないおいしさです。

▲一番人気はバラ軟骨とスペアリブ、半熟煮玉子がのった「全部のせラーメン【白】」
▲一番人気はバラ軟骨とスペアリブ、半熟煮玉子がのった「全部のせラーメン【白】」


「駅構内での初出店ということで、社内でも格別な思いを込めた店舗です。だからこそ、ほかのラーメンとは差別化した特別なものを出したいという思いがありました。そこで、一般的なチャーシューとはまったく違う、バラ軟骨とスペアリブのチャーシューをのせるという当店独自のスタイルが生まれました。電車待ちのお客様にもすぐに提供できるよう、短時間で茹で上がる自家製麺を使い、あらかじめ仕込んで完成させた肉をトッピングするだけにしてスピードアップを実現。食券を購入し、入店から1分ほどで提供できるようにしています」

素早く麺を茹で上げ、あっという間にカウンターに提供される一杯から立ち昇るおいしそうな香りに誘われて、お客もすぐさま麺をすすり始めます。

スープは豚骨本来の旨味とまろやかな味わいが楽しめる定番の「白」と、特製赤味噌のピリッとした辛味が食欲をそそる「赤」、そしてマー油の香ばしさとニンニクの香りが絶妙の「黒」の3種類。それぞれ異なる味わいのスープをどれにするか、チャーシューはどちらを選ぶか、いっそ贅沢に両方のせるか(これがオススメ!)。食べ比べて、お気に入りの組み合わせを見つける楽しみも味わえます。

店名となった「のぼれ天まで」という言葉は、もともと風風ラーメンの丼にも描かれている“のぼり龍” が由来。至高のラーメンを目指すラーメン職人の魂を表しているようにも、旨い一杯を味わったあとの至福の時を表しているようにも思えます。

9月からは学割がスタートし、学生証の提示または制服での来店で替玉か半熟煮玉子のいずれかが無料となります。また、10月には試験的にチャーシューとアルコールのセット販売を行い、反響が良ければレギュラーメニュー化も考えているそう。新しい試みにも積極的に取り組むこの店が、“天までとどく”勢いで、小倉駅の新たな名物店となる日も近そうです。

のぼれ天まで小倉駅店
北九州市小倉北区浅野1-1-1 JR小倉駅5・6番乗り場
営業時間:8:00〜23:00(LO22:45)
定休日:なし

小倉五街道 常盤橋咖喱

駅のホームでカレーは全国初⁉︎ お馴染み〈瑠璃ズキッチン〉の“生カレー”

8月1日に小倉駅3・4番乗り場にオープンしたのは、業界初の生カレー専門店〈瑠璃ズキッチン〉や皿倉山山頂の展望レストラン〈天宮〉などを展開する新九協同株式会社が手がける〈小倉五街道 常盤橋咖喱(ときわばしカリー)〉。駅のホームに立ち食いカレー専門店が店を構えるのは、実は全国でも類を見ない試みなのだとか。

▲バーナーで炙ったチーズの香ばしさがカレーにマッチする人気のチーズトッピング
▲バーナーで炙ったチーズの香ばしさがカレーにマッチする人気のチーズトッピング

カレーのベースになっているのは、イベントやキッチンカーでお馴染みの〈瑠璃ズキッチン〉の“生カレー”。加圧処理をせず、素材の成分を壊さない製法で仕上げたこのカレーは、“生きている旨み”を感じられる一皿としてたくさんのファンがいるそう。

「常盤橋咖喱では、電車の待ち時間でも時間をかけずサッと食べられるようにルーの火入れを強くしてとろみを増しています。その結果、さより一層コクのあるカレーに仕上がりました」と話すのは新九協同株式会社の濱田 龍介さん。

「元々が、子どもから大人まで幅広く愛される味を目指したカレーなので、駅の乗り場でもいろんな方に食べていただきたいですね。30種以上のスパイスを使っていますが、あえて辛味のあるスパイスは抜いています。牛骨ベースのスープにミンチの旨み、さらにたっぷり使った野菜や果物の相乗効果で奥深い味わいに仕上がっています」

辛味を抑えながらコクがあり優しいカレーは、カツや唐揚げ、コロッケ、チーズなどをトッピングするのが人気。「もっとたくさん食べたい」という要望に応じてキングサイズ(大盛)も登場しました。さらに9月からは新たに2種類のカレーパンを販売。パン生地も中のルーも別々に開発し、プレミアムはカレーパン専門の生地を作るメーカーと、もうひとつもベーカリーと共同製作するなど、こだわりが垣間見えます。

▲カレーパン(手前)とプレミアムカレーパン(奥)。ぜひ食べ比べてみて
▲カレーパン(手前)とプレミアムカレーパン(奥)。ぜひ食べ比べてみて

「時間のないお客さまにも楽しんでもらいたくて。カレーを食べるなら3分、カレーパンなら30秒で持ち帰れますからね」と濱田さん。

小倉五街道 常盤橋咖喱という店名の由来となった “常盤橋”は、かつて五街道の起点であり終点でもあった紫川にかかる橋の名前。旅立つ人、帰ってくる人――多くの人が行き交う小倉駅のホームの店に、その歴史と想いを重ねたと濱田さんは話します。

「この店のコンセプトは“行ってらっしゃい、おかえりなさい”。通勤通学で電車を利用する人、乗り換えの合間に立ち寄る人、出張や観光で小倉を訪れる人など、ホームには日々さまざまな人が行き交います。うちの店に滞在するわずかな時間でも、居心地良く感じられる場所、そしてまた行きたいと思ってもらえる店にしていきたいですね」

濱田さんの言葉どおり、今日も多くの人がカレーの香りに誘われて足を止めています。“駅でカレー”という新形態のグルメが、小倉の新しい食文化を発信しています。

小倉五街道 常盤橋咖喱
北九州市小倉北区浅野1-1-1 JR小倉駅3・4番乗り場
営業時間:8:00〜21:00(LO20:30)
定休日:なし
SNS:Instagram


取材・文/写真:岩井紀子

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