大規模火災から2年が過ぎ、旦過の新しいにぎわいの場となっている旦過青空市場。当初は火災被害に遭った店舗を中心に営業されていましたが、旦過地区の再整備に伴って旦過中央市場に店を構えていた店舗が新たに旦過青空市場に移転オープンしています。
歴史の詰まった旦過中央市場を離れ、新しい場所での営業を始めた旦過青空市場のニューフェイス5店をご紹介します。
●原商店
旦過で40年近く青果販売を続ける原商店。代表の原 健一さんがこの店を引き継いでから15年ほどが経つといいます。
現在は主に市内の飲食店などへの納品を行なっていますが、取引先にホテルや葬祭場が多いこともあり、珍しい野菜や果物のオーダーも多いのが特徴。婚礼メニューのために海外から食材を取り寄せることもあるといい、常にお客のニーズに応えられるよう、独自の仕入れルートを持っているのが強みです。
原さんは「この仕事をしていると『旦過』というネームバリューのありがたさを感じます。これからも誠実に、正直に店を続けていきたいですね」と語ります。
北九州市小倉北区魚町4-2-26 B-9 旦過青空市場
TEL:093-521-7568
営業時間:8:00〜17:00
定休日:日曜祝日
●玉置鮮魚店
昭和25年ごろから旦過で鮮魚店を営む玉置鮮魚店。亡くなったご主人は大阪の有名料理店で板場を勤め、ホテルの料理長を経て小倉へ。今も店を切り盛りする玉置幸子さんと一緒に、東映会館地下で寿司店「淀川」を20年近く営み、その後鮮魚店の跡を継ぎました。
旦過中央市場からの移転は、一緒に店に立つ息子の和弘さんのたっての希望。「なんぼ安くても、自分が食べたいと思わないものは仕入れない」という父親からの教えを守っています。
店を覗くなじみ客が愛らしいお母さんに調理法を尋ね、穏やかな息子さんが要望に応じて魚を捌く。親子の連携プレーがこの店を支えています。
北九州市小倉北区魚町4-2-26 B-8 旦過青空市場
TEL:093-531-6615
営業時間:9:00頃〜16:00頃
定休日:日曜祝日
●岡本商店
旦過中央市場内で古い木製看板をずらりと掲げていた店、といえばピンとくる人もいるのでは。佃煮や塩昆布などを扱う岡本商店も旦過青空市場に移転しています。
愛らしい笑顔で出迎えてくれるのは、長年店を切り盛りしてきた岡本 美智子さん。お嫁に来た昭和30年ごろにはすでに旦過で営業していたというこの店の長い歴史を、今はお嫁さんとふたりで守り継いでいます。
商品ケースを開けると昆布の佃煮の香りがふわっと広がり、思わず白いごはんが恋しくなります。店内に飾られたレトロな看板とともに、旦過市場の歴史に欠かせない店のひとつです。
北九州市小倉北区魚町4-2-27 C-2 旦過青空市場
TEL:080-1320-6637
営業時間:8:30〜16:00
定休日:日曜祝日
●若松商店
「いい商品を揃えてあげないと店は続かない」と語る若松 眞一さんは、戦後から続いてきた青果店・若松商店の2代目。かつては店頭での販売のほか、住友金属の運搬船などにも青果を納めていたといいますが、現在は得意先への納品が中心。若松さんが仕入れを担当し、息子さんが市内の飲食店などへの配達を担っています。
何気なく置かれた、使い込まれたナイフは玉ねぎの皮剥き専用のもの。若松商店では玉ねぎはきれいに皮を剥いた状態で納めているといいます。「値段より品質。職人が納得するものを届けたい」という若松さんのこだわりの一端が、丁寧な仕事からも垣間見えてきます。
北九州市小倉北区魚町4-2-26-A-4 旦過青空市場
TEL:093-521-8814
営業時間:8:00〜16:30
定休日:日曜祝日、中央卸売市場の休市の水曜
●Bar puka puka
モノレール旦過駅前から移転したBar puka pukaは、以前の店と変わらず青い壁が目印です。店内には飛行機好きのオーナー・野見山 敦子さんが集めた航空関連グッズが飾られ、常連客の中には飛行機マニアや航空関係の人もいるのだとか。
「椅子のある角打ちのような店です」と野見山さんが笑う通り、ひとりでもふらっと立ち寄れる気軽さが魅力。仕事帰りの一杯を楽しみにするサラリーマンや近所の住民、出張客まで、さまざまな人が集い、ここでは肩の力を抜いて好きなお酒と会話を楽しみます。
「いろんなお客様と出会えることがこの仕事の醍醐味」と話す野見山さんが立つカウンターは、夜の旦過青空市場を照らす憩いの場となっています。
北九州市小倉北区魚町4-2-25-A-2 旦過青空市場
営業時間:18:00頃〜翌0:00頃
定休日: 日曜、不定休
席:7席
チャージ:400円
取材・文/撮影:岩井紀子