京町駅前商店街の西端、魚町銀天街、京町銀天街とのアーケードが交わる一角にあるOUTLET小倉魚町店は、溢れんばかりのカジュアルウエアやスーツ、雑貨などがひしめくアウトレット店です。この店の母体は北九州で80年の歴史を持つ老舗紳士服店〈ザザホラヤ〉。実は店が建つこの場所は、若松で創業したザザホラヤの前身、ホラヤ商店が小倉へ進出した際の1号店だったゆかりの地なのだそう。
時代とともに業態を変えながら、2023年10月に新業態・OUTLET小倉魚町店としてオープンしました。
専門店品質をアウトレット価格で。物価高騰時代の救世主

小倉の商店街の一等地、店から溢れんばかりの商品が目を引くOUTLET小倉魚町店。整然とカテゴリー分けされた量販店とは違い、バラエティに富んだ商品の山、山、山。思わず「何の店だろう」と覗き込みたくなる空気が漂っています。
「あえて入り口から雑多な雰囲気にしているのは、お客様に勇気を出して入ってもらって、宝探しをするようにワクワクしながらお買い物を楽しんで欲しいからです」
そう語る壱ツ石(ひとついし)店長の狙い通り、店先の6足990円のソックスや1,000円台のカッターシャツに、多くの人が足を止めます。


▲専門店から仕入れた商品だけに、安いのに品質が高いのが人気の理由だ
OUTLET小倉魚町店には、ほかのディスカウント店とは明確に違う特徴があります。
「“専門店”で扱う質の高い商品をディスカウント価格で提供できるのがうちの強みです。私たちにはたくさんのメーカーとのつながりがあり、グループ店も100店舗以上あります。それらの店で残りわずかとなって棚から下げられる在庫や、倉庫で眠っていた商品などを集め、販売しています。商品にまったく遜色はなくても専門店としては陳列できなくなった商品の“最後の出口”だからこそ、いいものが安く出せるんです」

「一般的にスーツは一着5〜10万円と家計を圧迫するものですが、生活に欠かせない必需品でもあります 。物価高の波に逆らってお客様に喜んでもらいたい、地域に還元できる店をつくりたいというのが、アウトレットという業態へ舵を切った理由です」
本来は専門店で定価販売されていた商品が、最大80%OFF。平均しても定価の70%OFFというから、かなりの値引き率です。自分にぴったりな商品が見つかれば“見つけた人が得をする”。まさに知る人ぞ知る宝の山なのです。
海外有名ブランドのカジュアル服から、長く着られるスーツやコートまで

カジュアル衣料が並ぶ1階を覗いてみると、〈モンクレール〉のダウンコートや〈ザ・ノース・フェイス〉や〈トミーヒルフィガー〉のトレーナーやTシャツなど、インポートブランドが20〜40%OFF。また、普段着にも最適なスウェットは1,000円程度とお財布に優しいほか、衣料品のほかにも雑貨類も扱っているので、見ていて飽きることがありません。


▲インポートものも充実。クスッと笑えるパロディ柄のスウェットも人気だ
2階に上がると、メンズ・レディスのスーツがラインナップされています。定価13万円ほどの品が49,000円で並ぶこともあったり、孫の代まで受け継げるような日本製の最高級仕立てのトレンチコートなど、専門店なら10万円を超える品が19,900円で手に入ることもあるといいます。


▲ビジネスシーンで活躍するスーツはメンズからレディスまで幅広く展開
取り扱っている商品の品質には自信を持っていると話す壱ツ石店長ですが、「ひとつだけ悪いところがあるんです」と話します。
「ここに並べているのは本当に最後の在庫なので、サイズ展開が少ない場合が多い。気に入ってもらっても、ご自分に合うサイズがなかったと泣く泣く諦められるお客様もいらっしゃいます。でもその分、ぴったりのサイズで気に入るものを見つけられたら、無茶苦茶お買い得で喜んでもらっています」

OUTLET小倉魚町店の客層は10代から90代までと驚くほど幅広い。店長の狙い通り、ワクワク感に満ちた店構えに、通りすがりの買い物客や海外からの観光客などが次々に店に吸い込まれていきます。昨年の夏には、綿100%のTシャツは、こだわりの品質ながらワンコインでお釣りがくる450円で販売して大ヒット。目玉商品を定期的にチェックする常連客も多そうです。
人に合わせて提案する。商店街ならではの買い物体験

さらにこの店の大きな特徴は、壱ツ石店長が仕入れから販売計画、営業責任までを一人で担う「1人事業部」だということ。アパレル歴25年のキャリアを持ち、バイヤーや販促などあらゆる現場を渡り歩いてきたプロの知見が、この店の各所に凝縮されているといえます。
店長が最も大切にしているのは、店頭でお客さんと直接話し、声を聞くことだといいます。
「条件、用途、予算……しっかりと話を聞くことが、うちの特徴だと思います。例えば講演会に出るためのスーツを探しに来られた方に、ブランドや品質が見合うものを提案してぴったりマッチした時は快感ですね」

時には「アニメに出てくるような個性的なスカジャンが欲しい」という個別の要望に応えるために、あちこち探して取り寄せて、電話連絡することもあるといいます。
「一見、効率の悪い仕入れのように見えるかもしれませんが、欲しい人が1人いれば、もしかしたらほかにも欲しいと思っている人がいるかもしれないでしょう。そういう方に見つけてもらえればいいと思うし、だからこそ楽しい商品構成になるのかなと思います」
実験的にも思えるこの姿勢が、OUTLET小倉魚町店の唯一無二の品揃えを生んでいるといえそうです。その根底にあるのは「お客様を驚かせたい」という純粋なプロ意識です。
「100円でも高いと感じるものもあれば、10万円でも安いと感じるものもあります。お客様が喜んで、びっくりしてくれたらまた来てくれる。それがなによりの楽しみですね」
今後の目標を尋ねると「地域に根ざした店として続けていくこと」と実直な答えが返ってきました。
「このお店をきちんと続けていくこと。僕の次の誰かが働く場所として、そしてお客様が喜んで買い物ができる場所として残していくことが目標です」
商店街の一角で、今日も“驚きの逸品”を用意して待っているOUTLET小倉魚町店。勇気を出して一歩足を踏み入れれば、あなただけの「宝物」が見つかるかもしれません。

「元気があって、地域のみなさんに好かれる衣料品店として長く続けていきたい」
OUTLET小倉魚町店 店長 壱ツ石 圭
OUTLET小倉魚町店
北九州市小倉北区京町2-6-24
TEL:093-512-3600
営業時間:10:00〜19:45
定休日:なし
SNS:Instagram
取材・文/写真:岩井紀子

