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小倉まちなかコラム

こだわり素材ですべて手づくり。老舗湖月堂が手掛ける洋菓子店【ラトリエ・ドゥ・アカレンガ】

小倉を代表するお菓子といえば「湖月堂の栗饅頭」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。1895(明治28)年創業の御菓子司「湖月堂」は、小倉の人にとってもっとも親しみのある和菓子店といっても過言ではありません。

その湖月堂が手掛ける洋菓子専門店が小倉駅前商店街にある「ラトリエ・ドゥ・アカレンガ」。その名前はレンガ造りの趣のある建物に由来し、「アカレンガ」の愛称で人々に親しまれています。

色とりどりのおいしいケーキを求めるお客が絶え間なく訪れるアカレンガの魅力について、株式会社湖月堂の営業部部長・佐藤 徹さんにお話を伺いました。

歴史を感じさせる赤レンガの建物が目印

古くから和菓子を手掛ける湖月堂が洋菓子をつくり始めたのは1995年。現在アカレンガがある同じ場所で、喫茶「赤煉瓦館」を開いたのが始まりでした。少し薄暗い、落ち着いた雰囲気の店内でお茶と洋菓子を楽しめるお店でした。

その後、北九州市内をはじめとした湖月堂の各店舗で、赤煉瓦館で提供するケーキを販売するようになり、2010年に喫茶から洋菓子専門店としてリブランディングしたのが「アカレンガ」です。

▲一つひとつ積み上げられた赤レンガが時代を感じさせる

「店舗のあるレンガ造りの建物は、1918(大正7)年に建てられ、湖月堂のお酒の倉庫として使われていた貴重な建築です。喫茶を始めた当時は赤レンガのレトロな雰囲気を生かした趣のある店づくりをしていました。洋菓子店になった今も外観はそのまま生かしています。時代を感じさせる建物なので、なんとなく敷居が高いイメージを持っていらっしゃるお客様もいるようですが、店内は明るく親しみやすい雰囲気へとイメージチェンジしました」と佐藤さん。

▲店内はシャンデリアのあるエレガンスな空間

一つひとつパティシエが心を込めてつくる美しい洋菓子

アカレンガのケーキのほとんどは、赤坂海岸にある本社工場で作られています。年間を通して楽しめるケーキや焼き菓子のほか、季節に応じて使うフルーツやデザインに工夫を凝らしたものまで、すべて専属のパティシエたちが手づくりをしています。

▲アントルメ(ホールケーキ)は店内の工房で丁寧に手づくりされている

アカレンガで取り扱う商品は、クッキーやマカロンなどの焼き菓子も含めると約60種。「なかでも栗を使ったモンブランにはこだわっている」というのは、さすが栗饅頭の湖月堂ならでは。クリームには熊本県産球磨栗のペーストをふんだんに使い、湖月堂の人気商品「一つ栗」に使う栗をトッピングしているのだから、おいしいに決まっています。

▲見事に赤レンガを再現した人気商品「赤煉瓦ケーキ」

また、赤煉瓦を模した「赤煉瓦ケーキ」はオープン当初からのロングセラー。5層に重ねた口溶けのよいスポンジとムース、クリームをチョコレートでコーティングしたこのケーキはこの店ならでは商品です。甘すぎない味わいと手頃な価格で多くのファンに愛されるケーキです。

「湖月堂と同じく、いい素材を使ったお菓子を提供しようという思いは、洋菓子にも通じています。質の高い素材、旬の食材を使って季節感のある商品を考えながらつくっています。素材のおいしさをそのまま生かせるように、クリームも甘ったるくしすぎないように、フルーツそのものの味をできるだけ楽しめるようにしています。変にいろんなものを混ぜたりせず、素材重視でつくっているところがおいしさの秘密かもしれません」と佐藤さん。

“お気に入りのケーキ屋さん”として愛されるように

今でこそ、アカレンガは湖月堂の洋菓子店だと認知されていますが、当初はまったく別の店だと思われていたといいます。また、最初の「本格的なフランス菓子」という方向性から、「小倉の方のお口に合うようなお菓子」へと方向転換し、追求していったことも、アカレンガが多くの人に愛されている理由なのかもしれません。

「洋菓子店は若い方がメインなイメージですが、湖月堂の店ということもあって、年配のお客様も寄ってくださいます。特に洋菓子売り場を併設している湖月堂店舗が各地にあるので、そこで湖月堂の洋菓子を知り、小倉に来た折にはアカレンガの店舗に寄ってくださる、ということが多いですね。

お気に入りのケーキ屋さんとして、家族の誕生日にはうちのケーキを買ってくださるという嬉しいお客様もいらっしゃいます」と佐藤さん。

▲バースデーケーキのオーダーが多いのも人気店だからこそ

老舗和菓子店の洋菓子部門として、今後は和の素材をアレンジした商店展開にもチャレンジしたいという佐藤さん。それでも、奇をてらうのではなく、「あくまでお客様のお口に馴染むもの」を最優先にしていきたいそうです。

「やはり元が和菓子屋なので、会社としては和菓子がメインではあるけれども、これからの時代はいろいろなものを楽しめることが大事。和菓子の要素を洋菓子に取り入れてみたり、逆に洋菓子のアイデアが和菓子に生きることもあるかもしれない。両方の相乗効果で前に進んでいけたらいいのかなと思います。和菓子、洋菓子のどちらにもいいところがあるから、和・洋をきっちりと分けてしまうのではなく、うまく交わりながら歴史と格式を持つ湖月堂と両輪で進めていきたいと思います。

贈答といえば『栗饅頭』と言っていただけるように、ハレの日には『アカレンガのケーキ』と思っていただけるように。そして日常のお菓子が食べたいという時にも思い出していただけるような存在でありたいですね」

「小倉のまちに馴染む、気取らない“まちのケーキ屋さん”としてありたい」
ラトリエ・ドゥ・アカレンガ

ラトリエ・ドゥ・アカレンガ
北九州市小倉北区京町2-6-14
TEL:093-533-7116
営業時間:10:00〜19:00
定休日:不定休
SNS:FacebookInstagram(いずれも湖月堂)

取材・文/写真:岩井紀子

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