市場ならではの品揃えと人情が楽しめる、新しいお買い物スポット
旦過市場アーケードの小径を抜けた先にある「旦過青空市場」は、2022年の大規模火災跡地にできた新しいマーケットです。被災した店舗や旦過地区再整備事業に伴って移転した店舗がオープンし、徐々に賑わいを増しています。
全26区画のうち、現在入居しているのは13店舗。今後も続々とオープンが予定されています。
旦過青空市場では、イベントを行ったりSNSを使ってお買い得情報を配信するなど、認知度アップのための取り組みを積極的に行っています。また、入り口や通り沿いにテーブルを設置。買い物客や観光客が市場ならではの食べ歩きを楽しむ姿も見られます。
旦過市場の復興・再生に向けて力強く前に進む店主たちが集まる旦過青空市場。今回は新しく仲間入りした店舗を紹介します。
●ミートショップコア
2度目の火災以来、1年2ヶ月ぶりに旦過に戻ってきたミートショップコア。店主の福田 賢二さんは70年ほど前から続く旦過市場内の精肉店を父親から受け継いできました。火災で店と共に取引先の帳簿なども全て失い、今後どうするべきかと考えていた中、かつてのお得意様から「まだ店は開けないのか?」という連絡がたくさん届き、旦過青空市場で再起をはかることを決意したのだそう。
「店が狭いので商品は鶏肉が中心になりましたが、砂ずりの刺身や親鶏のたたき、ローストビーフや豚足など、新鮮でおいしい商品を取り揃えています。旦過青空市場に店を開けてみて、以前のお客様が見つけてくださったり、『がんばって!』と声をかけてもらえたりして、やっぱり店を続けてよかったなと思います」と福田さん。
帰省のたびに寄ってくれるお客や、県外からの注文もあるほか、出張のサラリーマンが「帰りの新幹線の中でのツマミにします」と買って帰ることも多いといいます。
しっかりとした処理がされ、見るからにおいしそうな商品に、プロのこだわりを感じます。
ミートショップ コア
小倉北区魚町4-2-27 C-1(旦過青空市場)
TEL:090-6631-1345
営業時間:10:00〜17:30(水曜のみ〜17:00)
定休日:日曜
●野口生花店
旦過中央市場から移転してきた野口生花店は75年以上の歴史ある店。店主の野口照子さんは毎朝6時には市場に出かけ、しっかりといい品物だけを吟味して仕入れています。
中でもこだわっているユリの花は「花が大きくていいものだけを選んでいる」と言うだけあって、1〜2本ではなく束で購入していく客がほとんどだそう。
「両親が営んでいた店を継いで、ずっとまじめに商売してきたから、場所を移っても皆さん変わらずに足を運んでくださいます」と嬉しそうな野口さん。
いいものをできるだけ安く届けたいという思いから、「ついつい気前がよくなってしまう」と笑いますが、それもお客さんに助けていただいているから喜んでもらいたいからだそう。
旦過青空市場に移って店は小さくなりましたが「ひとりでするにはちょうどいい広さ。日も当たるし、店に来ると元気が出ます。大好きな仕事です」
切り花だけでなく、枝ものや鉢物も豊富で、最近は男性客も多いといいます。
しっかりと手入れをし、水揚げさせた花が咲き誇る店内はとてもいい香りに包まれていました。
野口生花店
小倉北区魚町4-2-27 C-3(旦過青空市場)
TEL:090-5476-3061
営業時間:9:00〜17:00
定休日:日曜
●燻製処いぶしや
昨年1度目の火災で被災後、いち早く旦過市場内で移転営業していた燻製専門店燻製処 いぶしやも、市の旦過地区再整備事業に伴って旦過青空市場に再移転しています。
燻製のチップにサクラやウイスキーオークを使い、素材によって温度やスモークする時間も変えながら、納得のいく味を提供することにこだわっています。サバや銀鮭、カニカマといった海産物から、アーモンドやピスタチオなどのナッツ類、ジャガイモのスナック菓子を燻製にしたものまで、幅広い品揃えが魅力です。最近では、燻製したオリーブオイルにスモークしたベーコンやホタテなどを入れた「燻製アヒージョの素」など、店主の林 貴寛さんのアイデアを生かした商品も登場しています。
「ベーコン串やトルティーヤを使ったラップサンドなど、食べ歩きにもぴったりな商品も増やしています。旦過青空市場には飲食スペースもあるので、市場ならではの楽しみ方をしてほしいですね」
林さんは店の営業のかたわら、自らのYouTubeチャンネルでその日の旦過市場の最新情報も発信しています。誰よりも旦過市場の今を知り尽くす人物といえそうです。
燻製処 いぶしや
小倉北区魚町4-2-26 B-1(旦過青空市場)
TEL:080-6401-9901
営業時間:11:00〜18:00
定休日:日曜、祝日HP、Instagram、LINE、YouTube
●なかつ地物屋
11月に旦過市場から旦過青空市場へと移転したなかつ地物屋は、豊前海の新鮮な海の幸を扱う鮮魚店。豊前に自宅がある店主の外園 広宣さんは毎朝大分県・中津の魚市場に揚がった鮮魚を仕入れ、旦過まで運んできているといいます。
「うちの魚は地物ばかり。養殖物はほとんど扱いません。今の時期のおすすめは天然のブリ、それにハモは鍋物にいいですよ。きのこエビ(ガスエビ)は甘みがあって、車海老よりおいしいです」
日によっては鮮魚のほかに赤貝やタイラギ、アサリなど、周防灘のおいしい貝類も入るそうです。
常連のお客からのリクエストに応えて仕入れるなど、旦過青空市場に移っても愛されているのは20年近く旦過市場で店を営んできたからこそ。
取材時に居合わせた常連客は「ここは仕事が丁寧」と教えてくれました。
「一時は体調を崩して店を閉めるつもりでいたけど、お客さんから『まだ開けないの?』と問い合わせをたくさん頂いて、旦過青空市場で店を続けることにしました。皆さん足を運んでくれるので、再開してよかったと思います。ありがたいですね」と外園さん
「おいしかったよ」といってもらえるのが何より嬉しいと、今日もお手頃価格でうまい魚を並べています。
なかつ地物屋
小倉北区魚町4-2-26 B-2(旦過青空市場)
TEL:090-4980-5110
営業時間:9:00〜17:00
定休日:第2、4木曜、日曜、祝日