小倉まちじゅうモール

小倉まちなかコラム

▲おヒゲがチャームポイントのイエローカード店主、増永 進之介さん

テキーラ&メスカル専門のBARで陽気に酔いしれる【TEQUILA&MEZCAL イエローカード】

メキシコのスピリッツ(蒸留酒)といえば「テキーラ」。ショットグラスでクイっと飲み干すスタイルはかっこいいですが、あまり馴染みのない人も多いのではないでしょうか。  

サンロード魚町沿いのメルカート三番街入り口にあるBAR「イエローカード」は、テキーラとメスカル(テキーラと同じ原料で作るスピリッツ)を取り扱う、小倉では珍しい専門店。ここはさまざまな味わいのテキーラとメスカルを好きに楽しみながら、音楽と会話に身を委ねることができるオープンマインドなバーです。

「アガベ」という植物から作られるテキーラとメスカル

店主の増永 進之介さんがこのふたつの蒸留酒にこだわった専門BAR「イエローカード」をオープンしたのが2021年10月。

〈古いビルの一角を活用しながら、若い世代が新しいサービスや情報を発信していく〉というコンセプトを持つ「メルカート三番街」の入り口で、自らも手伝いながら店づくりも手掛けました。

「テキーラというとなんか強いお酒で、罰ゲームとかで飲むような印象ですけど、世界的に見るとすごく人気のあるお酒なんです。テキーラの数自体が把握できないくらいたくさんあるし、飲んだことがないような高級なものなんかもあったりします」

「アガベ」という種類の植物から蒸留されるというテキーラとメスカル。増永さんにその違いを聞いてみた。

「アガベ自体が300種類近くあって、その種類によってもできるお酒が変わってきます。テキーラ、メスカル、ライシージャー、ソトルとか、いろんな名前のメキシコのお酒がありますが、どれも『アガベ』という植物の球茎部から作られています。

テキーラは、アガベの中でも『アガベ・アスール・テキラーナ』(英名:ブルーアガベ)という品種しか使ってはいけないお酒。メスカルになるともう少し使える品種が増えてきます。原材料の種類や条件に見合ったものだけが『テキーラ』『メスカル』と呼べるお酒になるという点では、ワインやシャンパンにも似ていますね。 お酒としての歴史は古いんですけど、世界的にそういう基準が決められたのはテキーラだと1974年、メスカルは1994年なんです。」

▲サボテンが原料と思われがちだが、テキーラの主原料はリュウゼツラン科のアガベという植物
▲サボテンが原料と思われがちだが、テキーラの主原料はリュウゼツラン科のアガベという植物

日本ではメキシコのお酒としてはテキーラの方が知られていますが、現地メキシコではメスカルやライシージャーといった蒸留酒の方が歴史が深く、その後にテキーラが派生して生まれたのだといいます。

テキーラの奥深さに魅せられて

▲「個人的にテキーラとメスカルが大好きすぎて」と、普段からほとんどテキーラしか飲まないという
▲「個人的にテキーラとメスカルが大好きすぎて」と、普段からほとんどテキーラしか飲まないという

テキーラの中でもアガベ以外の材料をミックスして作った「ミクストテキーラ」と100%アガベで作った「プレミアムテキーラ」という2つのジャンルに大きく分けられ、イエローカードで扱うテキーラのほとんどが「プレミアムテキーラ」です。

「ミクストテキーラの方が多く出回っているので、うちでプレミアムテキーラを初めて飲んだお客さんはみんな『こんなに飲みやすいテキーラがあるんだね』って言われますね。同じテキーラでもそういう面白さがあるところが、僕がこの店を作った要因のひとつでもあります」

増永さんとテキーラとの出会いは20代の時にバーで働いていた頃。その時期に福岡で開催された「テキーラフェスタ」に出向き、そこで出会った1杯のテキーラに衝撃を受け、そこからどんどんとテキーラとメスカルの魅力にハマったといいます。

「『アソムブロッソ』というテキーラを飲んだ時に、最初はテキーラっぽい香りとか味がするんですけど、その後にバニラのような味がしたり、別の香りが感じられたりして、後味がスッキリしているんです。『え、これ何なん!? テキーラってこんなにおいしいんだ!』って、それまでの印象をガラッと変えるようなテキーラでした。うちの店にも置いていますけど、このタイプはちょっと高くてワンショット1,800円くらいしますけど、やっぱうまいっすね」

イエローカードで楽しめるテキーラ・メスカルは約30種類。ワンショット500円〜で、そのほかにもビールやカクテルも味わえます。

テキーラの味わい方は、最初の香り、味わい、アフターフレーバーの3つを楽しみます。その中に隠れた苦味や甘味、辛味といった個性を味わうのが通の楽しみ方。

初めての人でも、1番リーズナブルで増永さんがおいしいと思うテキーラを勧めてくれるので安心です。

「やっぱりファーストコンタクトでテキーラを好きになってもらいたいので、テキーラに慣れてない方には冷やし飲みやすくしたものをおすすめしています」と増永さん。

それぞれの味わいを楽しんで欲しいからこそ、テキーラを飲み慣れてない人にも「一気に飲まなくても、自分の好きなペースで飲んでいいですよ」を言ってくれ、テキーラ初心者の筆者は、オレンジジュースとトマトジュースのノンアルコールカクテルをチェイサーに出していただき、ちびちびと味わいました。

▲手前の陶器の器「コピータ」に入っているのがテキーラ
▲手前の陶器の器「コピータ」に入っているのがテキーラ

もちろん、飲み慣れた人には好みを聞いて提案してくれます。

「ワイン樽で寝かせたテキーラとかブランデーに近いような味わいのものまで、かなり味の違いも楽しめるものをセレクトしています」 イエローカードは20代〜50代の幅広い客層が訪れるそう。サンロード魚町沿いの店外にテーブルも出すオープンな雰囲気で、気さくな増永さんが出迎えてくれます。

「初めてのお客さんにとっては、なんとなく内輪が集って入りづらいみたいな印象があるかもしれませんけど、誰でもウェルカムなので気軽に立ち寄って欲しいですね。常連もいいお客さんばかりなので、それぞれが好きに時間を楽しめる、そんな場所です」

音楽とテキーラ

店の1番奥にはDJブースがあり、イベントも盛んに行われているイエローカード。音楽が好きな人がたくさん集まる店でもあります。増永さん自体はハウスとディスコが大好きだといいます。

「音楽はヒップホップだったりR&Bだったりレゲエだったりディスコ、ハウス、ソウルなどオールジャンルですね。1年前からジャンルごとに定期的なイベントも開催しています。地元で長年活躍するDJを呼んだり、時にはドラッグクイーンを招いてパーティを開催することもあります」

テキーラ飲みながら音楽に浸り、いい気分で酔える。ちょっとほかのお店では味わえない夜の楽しみ方ができるイエローカード。最後に増永さんが思うテキーラの魅力について伺いました。

「テキーラの魅力って、手軽に酔えるところだと思うんです。メキシコって暑い国でしょ。沖縄の泡盛なんかもそうですけど、そういう暑い地域のお酒って、陽気な酔い方をするイメージなんですよね。テキーラで酔うとなんかハッピーな感じがする。僕にとってはそこが魅力かな」

音楽とテキーラ。増永さんの好きなものが詰まったイエローカードの今後について伺いました。

「今は夜だけの営業ですけど、せっかく商店街に面しているのでもっと早い時間から楽しめる店にしたいなと思っています。タコスとかカレーライスとかフードもメインで出せるようにできたらいいなと考えています。

あとはメキシコやいろんな国を巡って、僕自身もっと勉強してこの店の次の展開に繋げていきたいというのが今の目標ですね」

「嬉しい時も悲しい時もテキーラ」
TEQUILA&MEZCAL イエローカード 店主 増永 進之介

TEQUILA&MEZCAL イエローカード
北九州市小倉北区魚町3-3-12 メルカート三番街1F-7
営業時間:17:00〜24:00/金・土曜、祝前日19:00〜翌2:00/日曜、祝日15:00〜22:00
定休日:不定休
SNS:InstagramFacebook

取材・文/写真:岩井紀子

最近の投稿

アーカイブ