小倉井筒屋から徒歩２分、京町の一角にあるビル2階の「腸活cafe ICHI」は、“がんばらない腸活”をコンセプトに、からだに優しい食事やデザートを提供するカフェです。

「いち」という店名でピンとくる人もいるかもしれませんが、この店は1959（昭和34）年から京町で町の食堂的な喫茶店として親しまれた「喫茶いち」の歴史と思いを受け継いだ店。今の時代にあったスタイルに一新し、2022年5月にオープンして以来、美と健康を意識した女性客を中心に支持されています。

戦前から続く「いち」のぬか床が、“腸活”に着目する原点に

階段を登った先にひろがる、吹き抜けのゆったりとした空間。“腸活カフェ”とはどんなカフェなのか？　この日は、企画・広報を担当する阿南有希子さんにお話を伺いました。

「この店をオープンするにあたり、『喫茶いち』時代から先代が大切に育ててきたぬか床を生かしたいという思いがありました。ちょうど発酵食品が注目されていた時期でもあり、胃腸に優しく、腸が活性化するヘルシーなメニューを提供できれば、お客さまの美容や健康のお手伝いができると考えました。腸にとって1番いいバランスは、野菜50%、肉類30％、穀類20%。そうした腸に優しいメニュー開発をしています」

人のからだは食べたものでできています。それでも、ついついランチをラーメンやコンビニ弁当で済ませてしまいがち、という人も多いのではないでしょうか。

「すべての食事に気をつかうって大変ですよね。だから1日1食だけでもバランスのいい腸活メニューを取り入れてもらえれば、足りない野菜が補えたり、お通じが良くなったり、からだのバランスを整えるのに役立ってくれると思っています。あまりに厳しく『体にいいものだけしか食べない』と決めてしまうと苦しくて続けられなくなるので、ほどほどにという意味で“がんばらない腸活”をコンセプトにしています」

腸活アドバイザーの資格を持つスタッフが開発する腸活メニュー

ICHIで提供されるメニューはすべて、腸活を意識したものばかりです。メニューを開発するのは、「腸活アドバイザー」の資格を持つスタッフたちです。 ランチは野菜たっぷりで食べ応えのある日替わりの「腸活プレート」や「ぬか炊き和定食」など。肉の代わりに大豆ミートを使い、小麦粉を使わずグルテンフリーで極力消化に負担をかけないように気を配られています。また、悪玉菌が増える原因になるといわれる白砂糖を使わず、善玉菌が多く含まれる発酵食品を積極的に取り入れるなど、とにかく腸にいいものが取り入れられています。

「現代人は圧倒的に野菜が足りてない人がほとんどなので、メニューの大部分が野菜で構成されています。どのメニューも味付けを変えているから飽きずに食べていただけますし、意外とボリュームもあるので男性でもおなかいっぱいになると思います。ボリュームはあるけれどもたれない。だけどしっかり夕方にはお腹が空く、消化にいいメニューばかりです」

添加物が多かったり胃腸に負担がかかるものばかり食べると、消化にエネルギーを使ってしまうぶん、体の動きが悪くなるのだそう。食後に眠くなるのは、血糖値が上がりすぎるためだといいます。

阿南さんは「腸活を意識したメニューを意識して、せめて1食でも置き換えていただけたら、次第に体のバランスが整って体も変わっていく」と話します。

罪悪感なく食を楽しんで、なおかつ健康に

利用客の９割が女性というだけあり、デザートメニューにも力を入れているICHI。低カロリーでグルテンフリーの「豆腐のガトーショコラ」といったスイーツから、ヨーグルトや甘酒を使った「グリーンスムージー」、「ソイラテ」などのドリンク類など、罪悪感なく味わえるものばかりです。

中でも人気は軽食とスイーツ、ドリンクがついた「アフターヌーンティーセット」。床漬けサラダや腸活サンドイッチとヘルシーなスイーツが満載、なのに低カロリーで腸活になるとあれば、思う存分楽しめますね。

最近は子連れ客も多く、「豆腐ハンバーグカレーランチ」などのキッズメニューも人気だといいます。

「私自身も子育てをしているのですが、腸活アドバイザーの勉強をしたことで食に対する考え方が変わりました」と阿南さん。

「子どもの食生活はみなさん意識していると思いますが、働きながらだと色々大変ですよね。例えば私は、市販のお弁当を買った時でも納豆や味噌汁をプラスして発酵食品を取り入れるようになりました。それだけでも母としての罪悪感は減るし、子どもの体にもいい。できる範囲で日常的に取り入れることを心がけています。体はすべて食べ物でできていて、食べたものとリンクしています。でもがんばりすぎると続かないので、そのくらいのバランスから始めるといいと思います」

腸と脳はつながっていて、腸が悪いとメンタルにも影響が出るというエビデンスも出ているのだとか。大人はもちろんですが、子どもたちにも、丈夫な胃腸で元気に過ごしてほしいものです。できる範囲で楽しく腸活を続けることで心もからだも健康に過ごせる。そう思うと日常に気軽に腸活を取り入れられそうです。

からだに優しい食品の販売やハンドケアブースも

店内では、ICHIのスタッフがセレクトしたお菓子や調味料などの物販も豊富です。最近販売を始めた「有機グラノーラと米粉のクッキー」は、無添加でグルテンフリー。

「パサパサしたイメージかもしれませんが、今は技術が進歩していて普通のクッキーと変わらないおいしさなので、ぜひ一度食べていただきたいですね」 また、階上のテラス席にはハンドエステとネイルケアの店「HAND&NAILS SNOW」も併設しています。手には臓器につながる反射区がたくさんあるので、腸活ランチの後にハンドケアをすれば、自分への最高のご褒美タイムになりそうです。

自分のからだを大事にしてこそ、元気な日々が送れる。そんな当たり前だけどつい見過ごしてしまいそうなことを、手軽に食事から取り入れることができる腸活cafe ICHI。まずはおいしい腸活ランチから、“がんばらない腸活”を始めてみてはいかがでしょうか。

「食べることに意識を向けることは、人間の根本を見つめること」
腸活cafe ICHI　　腸活アドバイザー　阿南有希子

腸活cafe ICHI
北九州市小倉北区京町1-5-22 2F
TEL：093-512-9863
営業時間：11:00〜18:00（LO17:30）
定休日：不定
席数：30席
SNS：Instagram、LINE

取材・文／写真：岩井紀子