旦過市場の入り口の東側、グリーンロード沿いにある自転車店CLICK(クリック)は、1948(昭和23)年に創業した歴史の古い店。現在はスポーツサイクルを中心に自転車やサイクル用品を販売しています。専門のメカニックが常駐しているので、パンク修理はもちろん、チェーンやギア、リムの交換、部品の組み替えなど、さまざまな要望にも応えてくれる数少ない専門店です。
77年の歴史をつなぐ自転車専門店

1階にはロードバイクやサイクル用品、2階には折りたたみの小径車などがずらりと並ぶ自転車専門店CLICK。狭い間口ながら奥行きのある店内には、スポーツサイクルを中心に数十台の自転車を取り揃えています。
現在店を任されているのは高祖 裕子さんとメカニック担当の松田 貴士さん。この店は、高祖さんの祖父が戦後まもなく友人と共に旦過中央市場あたりで自転車店を開業したのが始まりで、1958(昭和33)年に現在の場所に移り、祖母と叔父が実用車の販売やバイクの修理を行っていたといいます。1987(昭和62)年には高祖さんの父がスポーツバイクをメインに扱う店へと路線変更。ロードバイクなどを取り揃え、サイクリングイベントを開催するなど、愛好家が集う店として愛されてきました。1997(平成9)年に現在のビルに建て替え、2011(平成23)年ごろからは高祖さんと松田さんのふたりで店を切り盛りしています。

「父は、自転車店を続けていく上でなにか特徴がないと生き残れないと考えたようで、スポーツサイクルにシフトしたのだと思います。20年くらい前にクロスバイクのブームがあって、通勤や通学に使う方が増え、そこからスポーツバイクに興味を持つ方も増えましたし、アニメ『弱虫ペダル』の影響で若い方や女性のお客様が増えた時期もあったので、父の目は正しかったのかなと思います。今はピーク時と比べると落ち着いてきた感じですけど、それでも変わらず大事に乗られている方はいらっしゃいます」


▲2階にはミニベロををはじめ、さまざまなタイプの自転車が展示されている
CLICKでは、国内外問わず数多くのメーカーの自転車を扱っています。100年を超える歴史を持つ海外ブランドから、新興のアジアメーカーまで取り揃え、5万円前後の入門モデルから100〜150万円のハイクラスまで手に入れることができます。
「当店でお買い上げいただいた自転車に関してはずっと無料で定期点検と調整をしていますので、安心して長く乗っていただけると思います」
35年のキャリアを持ち、競技も経験したメカニックが常駐

自転車に乗る上で欠かせないのがメンテナンス。CLICKでもパンク修理やチューブ交換に訪れるお客は多く、愛好家向けの専門店のような敷居の高さはありません。
「パンク修理程度であれば、できるだけすぐに対応するようにしています。状態によってはチューブやタイヤ交換が必要なこともありますが、交換部品の在庫も他店と比べて豊富に揃えているので、かなり早く仕上げられるほうだと思います」と話すのはメカニック担当の松田さん。
松田さんは高校時代にお客としてCLICKに通っていて、高校卒業と同時に入社したという無類の自転車好き。それ以来自転車一筋で腕を磨いてきました。チェーンやギア、リムの交換のほか、部品の組み替えなども手掛け、高度な技術で常連客からも信頼を得ています。


「コロナ以降、ネットで自転車を購入される方が増えて、修理を受けてくれる専門店が見つからずにうちを頼ってきてくれる方も多いですね。あとは、イタリアのパーツメーカー〈カンパニョーロ〉の部品なども取り扱っているので、こだわりのある方や古くから乗っていらっしゃる方のご相談も多いです」
ものによって取り寄せになるパーツもありますが、できるだけ早く修理しお渡しするように心がけているといいます。また、乗る人によって“自転車感”が違うので、それを掴むことも気をつけていると松田さん。

「それぞれに好みが違いますからね。例えばツーリングをする人でも荷物を乗せたい人、スポーツ的な走りを求める人と、感覚がバラバラなので、その方がどんなシチュエーションで、どういう走りをしたいかをしっかりと聞き出すことが、希望通りの自転車に仕上げるポイントだと思っています」
日常使いなのか、長距離を走る場合はどれくらいの距離なのか、荷物はどの程度か。そうした情報を共有することが、自分好みの自転車に仕上げてもらうコツのようです。

「自転車のいいところは、競技に出る楽しみもあれば、ふらっと旅に出たりすることもできるところ」と松田さん。自身も20代の頃は競技もやっていたと言うだけあって、幅広い知識を持っているところも強み。昨年はフランスにマウンテンバイクのイベントを見に行ったそう。
「海外に行くと自転車の遊び方が日本とは違うなと感じます。日本だと自転車レースにはその競技をやっている人しか集まってこないのに対して、去年行ったレースは子どもや近所の人が気軽に参加できるものだったし、マウンテンバイクだからといって山を走るわけじゃなく、まちなかで楽しんでいたり。そういう楽しみ方は日本にはなくて面白いと思いましたね」
高祖さんも、以前と比べると自転車に乗る時間は減ったといいますが、移動や買い物など、自転車は生活に欠かせない存在だと話します。


▲この春から着用が努力義務となったヘルメットのほか、ライトなど欠かせない用品も数多く揃う
「若い頃は長距離を走ったりしていましたが、歳を重ねると日常に使うものに変わってきましたね。でも乗っている時に何も考えず、ただただ楽しいのは今も変わりません。自転車って自分のペースで止まったり走ったりできて、スピードがちょうどいいんですよね。色々知らないところを発見できるというのも魅力だと思います」
気軽な移動手段であり、ツーリングや競技などさまざまな楽しみ方もある自転車。誰もが楽しめる身近な乗り物だけに、自転車を愛し、高い技術でサポートしてくれる自転車専門店CLICKは、自転車乗りにとって心強い存在です。
「生涯ずっと自分のスピードに合わせて走れる。それが自転車の魅力」
CLICK 高祖 裕子

CLICK
北九州市小倉北区魚町4-2-5
TEL:093- 521-4712
営業時間:12:00〜18:00
定休日:火曜、水曜不定休
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取材・文/写真:岩井紀子

