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小倉まちなかコラム

旦過市場に若者が列をなす、映え度満点!のふわふわかき氷【KOKURA堂】

ちょうど1年前、旦過市場が火災に見舞われ、市場の半分近くが仮囲いの壁覆われていた頃。営業している店舗ももちろん頑張ってはいるものの、なんとなく暗いムードが漂っていた市場内で目にした光景が忘れられません。

学生と思われる若いグループやカップルが10組以上列をなし、古びた中央市場内までのびているのです。

旦過市場の平均年齢を下げてしまいそうなほどの人数のお客が並んでいた店が「KOKURA堂」。SNS映えするかき氷が話題を呼んでいました。

KOKURA堂では今年も6月初頭からかき氷の提供がスタート。去年よりもバージョンアップしたふわふわかき氷に、早くも人気が集まっています。

フレッシュフルーツてんこ盛りで映える!旦過市場ならではのかき氷

※KOKURA堂Instagramより

KOKURA堂のかき氷の特徴は、なんといってもご覧のとおりのフルーツ満載ビジュアル。「せっかく食材の宝庫である旦過市場に店を構えているのだから、旦過市場にあるもので話題づくりができれば」と話す店長の西原賢志さんは、材料の全てを旦過市場内のフルーツショップから仕入れています。

▲「その時期に一番おいしい産地のフルーツを届けてくれる専門店がそばにあるのは心強い」と西原さん
▲「その時期に一番おいしい産地のフルーツを届けてくれる専門店がそばにあるのは心強い」と西原さん

一番人気の「桃のかき氷」は、フレッシュな桃1玉をまるごと使った食べ応え満点の一品です。

「桃のかき氷というと、まるごと一個を乗せている店も多いですけど、うちは食べやすく、かつ見栄えもいいようにゴロゴロ感を楽しめるようにしています。桃は特にですが、フレッシュのフルーツはカットするとすぐに色が落ちてしまうから、注文を受けてからカットして盛り付けます。インスタを見て来てくださる方が多いので、みなさん写真を撮られる。だからちょっとでも美しく、おいしそうに盛り付けることにも気を使っています」

▲一瞬で溶けてしまうふわふわのかき氷は、氷の純度と刃の角度が決め手だ
▲一瞬で溶けてしまうふわふわのかき氷は、氷の純度と刃の角度が決め手だ

注文を受けると、待ちに待っていたかき氷がつくられる様子にお客は釘付けなのだそう。「つくっている様子を目をキラキラさせながら見られるので緊張しますよね」と笑う西原さん。

かき氷機は1台しかないので、提供されたらすぐに食べて欲しいところですが、グループで来店していると、どうしてもお互いのかき氷を並べて写真に収めたいという要望があるそう。

「うちのフルーツは活きがいいんで(笑)、溶け始めると果実が落ちてしまうので、早く作ってあげたい!といつも時間との戦いです。本当はすぐに写真を撮って食べていただきたいんですけどね」

▲それぞれのフルーツのおいしさが生きるようにつくられた自家製シロップをたっぷりかけて
▲それぞれのフルーツのおいしさが生きるようにつくられた自家製シロップをたっぷりかけて

今年のかき氷は桃、いちご、マンゴー、キウイ、パイナップルの5種類。桃とキウイ、パイナップル、マンゴーはフレッシュを使い、いちごはおいしい時期に冷凍していたものを特別なシロップに漬けて、おいしさを増す工夫をしています。

また、数量限定のマンゴーは8月いっぱいで時期が終わるので、その後はまた違う商品を企画予定だそう。それもまた楽しみにしたいところです

▲山盛りの氷にフルーツを惜しげもなくトッピング
▲山盛りの氷にフルーツを惜しげもなくトッピング

順番を待つ間に、ぜひ旦過市場散策も楽しんで

KOKURA堂のかき氷を待つ行列が旦過市場の通行を妨げるほどなった昨年を踏まえ、今年は店頭で記名してもらう方式に変更。暑い中、並ぶ必要がなくなりました。

1組あたりの所要時間を10〜15分とみて、順番がまわってくる頃に戻って来ればよく、もし戻った時に順番が過ぎていても、名前を申し出れば次に店に入れるという良心的な仕組みで対応してくれます。

▲店頭には絶え間なくお客が訪れる
▲店頭には絶え間なくお客が訪れる

「去年は周囲にご迷惑もかけたので、今年はせっかくうちに来てくれる若いお客さんを旦過市場に少しでも還元できたらいいなと思っています。若い方は市場で買い物をした経験がない人が多いと思うんです。商品は目に入っていても、購入する気持ちで見ていないから素通りしちゃいますよね。うちの桃がおいしかったというお客さんに『どこで買えますか』と聞かれて、お店を教えたことがあるんです。うちの商品がきっかけで、市場での買い物を楽しんでもらえたら嬉しいですよね」

最近では、火災跡地にできた旦過青空市場に飲食スペースも設置されました。以前のように市場での食べ歩きができる身近な市場として旦過市場が賑わうことが期待されています。

居酒屋から転身、スイーツに魂を込める。パワーの源は推し活!

▲「旦過といえばKOKURA堂と言われるようになりたいですね」と西原さん
▲「旦過といえばKOKURA堂と言われるようになりたいですね」と西原さん

KOKURA堂がオープンしたのは2021年7月。この店は、小倉で「旬工房 くら」などを展開するグループが経営母体です。西原さんは高校3年生の時にアルバイトで居酒屋に入って以来、ずっとホールで接客をしてきたのだそう。当初はカレーパンの店としてオープンし、この春まで販売していましたが、昨年のかき氷のヒットを機にスイーツに舵を切り直し、夏はかき氷、それ以外はフルーツパフェなどを提供しています。

「今年で45歳になりますが、この歳になってスイーツの勉強をするとは思っていませんでした。ずっと接客の仕事をしていましたが、この店は狭い店なので、お客さんの顔が近いし、ダイレクトに声が聞けるので楽しんで働いています」

▲期間限定のマンゴーは8月までに味わいたい
▲期間限定のマンゴーは8月までに味わいたい

多い時は80〜100杯のかき氷を1日中作りっぱなし、という西原さんの原動力は、充実したプライベートにあるのだとか。最近では「ウマ娘 プリティダービー」のイベントに遠征し、サイリュームを振り回してきたといいます。「元々競馬が好きで、『グラスワンダー』という馬が小倉競馬場を走っていた頃から応援していたので、気づいたら2次元の世界にはまってました(笑)」

「プライベートの充実と仕事の楽しさはイコール」だという西原さん。推し活で得た活力を、おいしいスイーツに生かしているそうです。

かき氷人気でブレイクしたKOKURA堂ですが、夏以外でもこの店を目指して来てもらえるような商品を考えていきたいと西原さんは話します。

「火災からの復興の真っ只中の旦過市場ですが、今後は再開発で新たな観光地に生まれ変わっていくはず。そんな旦過にせっかく店を出しているのだから、旦過の食材を生かした商品を出して、市場の皆さんと一緒にこのまちを盛り上げて行けたらいいなと思っています」

▲涼を求めるお客で、店内はいつもいっぱい
▲涼を求めるお客で、店内はいつもいっぱい

「かき氷で、ひとりでも多くの人に涼しさとおいしさを届けたいです」
KOKURA堂 店長  西原賢志

KOKURA堂
北九州市小倉北区魚町4-1-22
TEL:093-533-3288
営業時間:11:00〜19:00
定休日:水曜(7〜8月は無休)
席数:9席
SNS:Instagram

取材・文/写真:岩井紀子

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