小倉まちじゅうモール

小倉まちなかコラム

▲旦過市場南側入り口近くにある奥田精肉店

北九州のブランド牛「小倉牛」の生産農場直営の精肉店【奥田精肉店】

「奥田精肉店」は、旦過市場に数ある精肉店の中でも、北九州のブランド牛として知られる「小倉牛」に特化した精肉店。1985(昭和60)年頃に開いたこの店は、小倉牛の生産農場直営の店として知られています。取り扱う牛肉の大半が自社農場で飼育した小倉牛。そのほかには国産黒毛和牛や国産ホルモンなど、質の高い肉がショーケースの中にずらりと並びます。

美しい霜降りの小倉牛は一度食べたらやみつきに

▲ブランド牛だけに良いお値段だが、そのぶんおいしさはお墨付き

小倉牛は北九州市内で生産される黒毛和牛の中でも厳しい品質検査によって選び抜かれた牛だけが認定をうける牛肉です。北九州が産んだこのブランド牛は、JA北九が認定する販売店でしか購入できない最高級品。

その特徴は、美しく細かな霜降りとツヤ、口の中でとろけるような柔らかな肉質と、旨味がありながらもさっぱりと軽やかな味わいです。

店頭に並ぶ肉は、ひとめ見ただけで「おいしそう」と思わずにいられない美しさ。ロース肉をすき焼きにして試食してみましたが、なめらかで柔らかな肉質とおいしさに、「今まで食べていたすき焼きはなんだったんだ!」と思わずにいられない、格別な味わいでした。

▲手際よく牛肉を裁き店頭へ。贈答向けの小倉牛の折り詰めも好評だ

「お客さまからも『おいしかった』『スーパーの肉とはまったく違うね』という声をいただきます。地元の方はもちろんですが、県外から買いに来てくださるお客様もいらっしゃいます」というのは代表の柿木和代さん。柿木さんは午前中に牧場で牛の世話をし、午後からは娘婿の店長や従業員と共に店頭に立っています。店内は和気あいあいとした雰囲気ながら活気があり、楽しげにお客と会話する様子は旦過市場ならではの光景。商品はもちろん、その人柄に「この店ならまちがいない」と言う常連客が多いのも頷けます。

▲余分な脂を削ぎ落とし、丁寧に下処理をほどこす

のどかな環境で愛情たっぷりに育てられた牛たち

▲柿木さんの「おいで」の声に、一斉に牛たちが集まってくる

柿木さんの1日は、自宅前にある牧場「奥田畜産」の牛小屋での牛の世話に始まります。小倉南区の貫山の麓にある静かな牧場を訪ねると、真っ黒でツヤツヤした毛並みの牛たちが行儀よく過ごしていました。この日は出荷直後だったため牛舎にいたのは23頭の小倉牛。普段は30頭程度を育てているそうです。

「40年以上前でしょうか、兄が『牛を飼いたい』といい出して牧場を始めました。精肉店を始めたのより、牛を飼い始めたのが先ですね。最盛期は80頭くらい飼育していましたが、兄が亡くなり、今は弟と従業員と一緒に世話をしています」

▲牧場はこんなのどかな山あいにある。自家菜園でその日の朝に収穫した野菜も店頭で販売しています

朝8時に始まる牛の世話は、牛舎の掃除に始まり、その後牧草や配合飼料を与えます。

牛舎に近づくと、牛たちが一斉に柿木さんを目かげて集まってきたのが印象的でした。柿木さんが「おいで」と牛たちに声をかけ、優しく頭をなで、ブラシをかけてあげると、嬉しそうに寄っている牛たちの様子から、いかに愛情をかけて育てているかが伺えました。

(ちなみに初めて訪れた筆者に対しては、興味を示すものの手を差し出すと後退り。案外人見知りな牛たちでした)

小倉牛と認定されるだけの質を守るための愛情と技術

▲牛たちは柿木さんにとってかわいくて仕方がない存在

「みんな名前がついていて、顔を見たらどの子がわかるんですよ。みんなかわいくて、私にとっては大きなペットみたいな感じ。だから出荷する時はやっぱり切なくてね。私はなるべく見ないようにしています」と柿木さん。

肉牛とわかっていながら、ここまで手をかけて毎日かわいがっていれば、別れがつらいのは当然なこと。だからこそ柿木さんは牛たちへの感謝を感じながら、顔や体つきを注意深く観察し、大事に、丁寧に育てているといいます。

小倉牛に認定されるためには霜降りの等級である「BMS」という評価基準をクリアする必要があり、厳しい飼育マニュアルもあるのだそう。奥田畜産では、北九州市立総合農事センターの獣医にアドバイスももらいながら、生後9ヶ月の仔牛から出荷を迎える約2年程度まで、大切に育てています。

その甲斐あって、9月に行われた九州の肉牛共励会(肉質等級などを競う大会)では、「BMS」等級で最高位のNo.12を受賞。最高級の小倉牛としての太鼓判をもらったそうです。

恵まれた環境で愛情を込めて飼育する技術の高さが、奥田精肉店の小倉牛の質の高さ、おいしさにつながっている証拠といえそうです。

▲とにかく明るく活気ある奥田精肉店のみなさん

「牛たちは、かけがえのない命です」
奥田精肉店 代表 柿木和代

奥田精肉店
北九州市小倉北区魚町4-1-35
TEL:093-541-6629
営業時間:9:00〜17:00頃
定休日:日曜、祝日     

取材・文/写真:岩井紀子

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