小倉まちじゅうモール

小倉まちなかコラム

▲スタッフのSAKUさん(左)とHEYHEYさん

1本のメガネとの出会いで自分の個性・スタイルが決まる【GLEAM(グリーム)】

「ちゅうぎん通り」に沿って飲食店や物販店が立ち並ぶ小倉中央銀座商店街。老舗の町中華から若者に人気のスイーツショップ、こだわりのセレクトショップなど、個性豊かな店が集まるその一角に、ひと際スタイリッシュなメガネ店「GLEAM(グリーム)」はあります。

2011年に八幡西区で開業し、現在の場所に移ったのが2014年。メガネ業界でも「イケてる店」として知られるGLEAMは、そのセレクト力と「この人から買いたい」と思わせる提案力を大切にしているといいます。対面販売にこだわり、県外からわざわざ足を運ぶお客も多いというこの店のこだわりを、オーナーの吉田康人さんに伺いました。

世界レベルで見た「本当にいいと思えるもの」をセレクト

▲細かなディテールひとつでかけた時の印象もガラリと変わる
▲細かなディテールひとつでかけた時の印象もガラリと変わる

壁面に整然と並ぶメガネフレーム。その対面にはバーのような長いカウンターあり、店内はとてもスタイリッシュ。1,600点を超えるというフレームは、世界でも高く評価される海外ブランドがほとんど。「ジャック・マリー・マージュ」「ディータ」「クロムハーツ」など、名だたるブラントの中には、国内での取扱いが少ないブランドも多いといいます。メガネ好きも唸るそのセレクトの基準は、オーナーの吉田さんが「かっこいい」と思えるかどうか、なのだそう。

「デザイナーの考え方や思想がうまく表現されたものが好きですね。売れるもの、売れているものをマネるのではなく、作り手たちが本当に作りたいもの、なおかつそれが世界でちゃんと評価されているものに惹かれます」と吉田さん。

日本人に合わせて作っている国内ブランドにも良さはあるけれど、海外のブランドをかっこいいと思うのは、「メガネは洋服と同じで西洋で生まれたものだから、かっこいいの基準はそこにある」というのが吉田さんの持論。

日本で流行っているからという理由ではなく、世界でちゃんと評価されているもの、時代の一歩先を見据えたGLEAM独自のセレクトは広く支持されていて、最近では福井や仙台、岡山など遠方からの来店もあったといいます。

創業から13年。自分が好きなもの、いいと思うものを提案してきたという吉田さん。北九州という土地に合わせるのではなく、世界から見た「イケてるレベル」を意識したセレクトがGLEAMの独自性を支えています。

みんなが知りたいフレーム選びのコツ

▲筆者に似合いそうなのは?との質問に吉田さんが選んでくれたフレームたち
▲筆者に似合いそうなのは?との質問に吉田さんが選んでくれたフレームたち

たくさんの商品の中から、自分に似合うフレームを選ぶのが難しい、という人も多いのではないでしょうか。そんな質問を投げかけると、「雰囲気を見ただけで似合うメガネはひと目でわかります」と吉田さん。

「ファッションや髪型から『こんな雰囲気が合いそうだな』ということはわかるので、似合うものはわかります。ただ、内面や好みは話してみないと分からないですから、ヒアリングは大事にしています」

メガネ選びのコツを伺ってみると、「みなさん仕事の時とオフの時って服も靴も変えるじゃないですか。それと同じでどんなシーンで、どんな人と会うか、どんな服装に合わせたいか、どんな風に見られたいかをイメージして選ぶといいと思います。メガネって髪型と一緒で、人の印象とか雰囲気をつくる大きな要素のひとつ。だから日本でもシーンに合わせてメガネを変える文化が根付いたらいいなと思いますね」

要はどんな自分を見せたいか。

吉田さんはメガネひとつで変身できた、あるエピソードを聞かせてくれました。

「担当の税理士さんが、年下なんだけど角刈りでなんかおじさんっぽかったんです。メガネはもう少し丸い形にして、髪型も柔らかい感じにした方がいいですよってアドバイスしたら、彼はメガネを変えて3ヶ月ぐらいで彼女ができて、その後結婚したんです。

人ってどうしても最初は顔の印象で判断してしまうので、メガネで第一印象を変えるお手伝いができると思っています。こう見られたいっていうイメージがあればいくらでも提案ができますし、メガネひとつで人からの見られ方が変われば内面にも影響します。見た目を褒められると自分に自信がつきますからね。ファッションという側面でいうと、僕らの仕事ってお渡しした新しいメガネを周りの人から褒められたり、『そのメガネどこで買ったの?』って聞かれることが正解だと思っています」 褒められれば気分も上がる。新しいメガネで新しい自分が表現できる。GLEAMではお客の思いに寄り添う気持ちと提案をいいバランスで提供しながら、お客自身に選んでもらうことを意識しているといいます。

▲ちょっと遊び心のある色や形でも、サングラスなら取り入れやすそう
▲ちょっと遊び心のある色や形でも、サングラスなら取り入れやすそう

さらにメガネ選びで知っておくといいことを教えてもらいました。

「自分で似合うと思うかどうかは、見慣れているかどうかなんです。だからついつい以前と同じようなものを選びがちなんですが、僕らは専門家なので客観的なアドバイスができます。ぜひ型にハマらずにいろいろと試してほしいですね。

そういう意味でいうと、誰と一緒に来店するかも結構大事です。相手の方の評価にどうしても影響されますから。本気で変わりたいのなら、1人で来店してもらう方が変われると思います。

あとは、メガネを試すときは顔だけが映る手元の鏡だけでなく、全身が映る鏡で見てほしいです。洋服を選ぶ時と同じで、メガネも全身のバランスを見て印象を感じてほしいですね」

ぜひ次のメガネ選びに活かしたいアドバイスです。

ものはどこでも買える時代。「誰から買うか」が重要

▲YouTube「GLEAMメガネチャンネル」では、新商品の紹介からメガネ選びのコツまでさまざまな情報を発信
▲YouTube「GLEAMメガネチャンネル」では、新商品の紹介からメガネ選びのコツまでさまざまな情報を発信

GLEAMでは、通販をせず対面販売にこだわっているのも特徴のひとつ。「対面だからそこ与えられる価値がある」と吉田さんも言い切ります。

対面にこだわる理由のひとつは、「メガネはレンズを入れてその人に合わせないと未完成なものなので、フレームだけを売るのが好きじゃない」ということ。ただそれよりも大きな理由は、「この店で買ってみたい、あの人から買いたいな」というお客を増やしていきたいからだといいます。

「今の時代、ものはどこでも買えるんです。北九州にあって福岡市にないものってほぼないですよね。商売をしていく上で、品揃えだけで勝負するのはむずかしくて、だったら提案力やコミュニケーション自体をいちばんの商品にしようという考え方。それがうちのやり方です」

「きっかけは扱っているブランドかもしれないけど、最後は『誰から買うか』がいちばん大事」だと吉田さん。YouTubeで情報発信をしているのも「この店で、この人から」と思ってもらえるきっかけ作りなのだそう。

スタッフ一人ひとりの個性が光っていて、それぞれのセンスや価値観を信頼して買ってもらいたいという思いのもと、基本的には接客は個人の価値観を重視して各々に任せているのだそう。 「たとえば40代の僕と20代の女性スタッフの価値観が同じなわけがなくて、接客するスタッフが変われば似合うと思う商品も変わるかもしれない。そこが面白さだと思うんですよね。だから、あえて僕の常連さんに『今日は若いスタッフに選んでもらったらどうですか?』って勧めることもあるんです。そうするといつもとは違う提案、いつもとは違う出会いがあって喜んでもらえる。そこが買い物のおもしろさであり楽しさかなと思いますね」

確実にいいものを揃えていなければいい物は勧められないし、いいスタッフ・パートナーがいてこそいい商品を選んでもらえるという吉田さんが目指すのは、「たとえばディズニーランドに行く前日からワクワクするみたいに、明日GLEAMに行くのが楽しみで仕方ない」という存在になることだそう。

実際、YouTubeをきっかけに来店される人の中には、まるで芸能人に会えたかのようにGLEAMのスタッフに会えたことを喜ぶ人もいるといいます。人の魅力を価値にするというその目標はかなり実現できているようです。

GLEAMらしいスタイルを持ち、自らの個性も光らせながら、お客の個性も光らせる。こだわりの専門店だからこそできる仕事です。

20代前半からメガネ業界に携わる吉田さんが、メガネに興味を持ったのは、かつて職場の同僚がたまたまメガネをかけてきたのをみて「こいつ、今日かっこいいな」と思ったことがきっかけだったのだそう。元々洋服が好きだった吉田さんがメガネをファッションアイテムだと意識し、たくさんの情報を得ながら関係を作ってきた中で実現したGLEAM。9月には福岡市博多区店屋町に待望の2号店「GLEAM博多店」がオープンします。

「靴やカバンにお金をかけるけれどメガネは5,000円でいい、という人も多くいますが、人の印象の多くを担うことを考えれば、メガネにもっと価値を置くことでおしゃれになることができると思います。メガネはポジティブなアイテムなので、もっとメガネ選びを楽しんでほしいですね」

「メガネは自己表現のツールである」
GLEAM 吉田康人

GLEAM
北九州市小倉北区京町1-5-17
TEL:093-383-9688
営業時間:12:00~19:00(土日曜11:00〜)
定休日:水、木曜
SNS:InstagramYouTube

取材・文/写真:岩井紀子

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